004 燃やされた幽霊屋敷

−殺された少女が「おいで」と手招きする−



 1960年、南米コロンビアの村でナタリアという幼い少女とその両親が、二人の男に殺害されるという事件が起きた。
 男たちは逮捕され、犯行について取り調べられたが、その最中容疑者の一人が叫び声を上げると、あっさり自らの犯行を認めたのである。容疑者の話で は、取調室の隅に死んだはずの少女が立っていたので、恐怖から思わず犯行を認めたという。
 この話だけなら、犯人が罪悪感から見た幻覚と考えることもできるが、ナタリアの姿はしばしば村で目撃されるようになった。
 最初に少女の姿を見たのは村の子供たちで、子供たちは「ナタリアが寂しがるので、一緒に遊んでいる」といって、親たちを驚かせた。 それでも、大人たちは子供の話という事で信じようとはしなかったが、、ある夜、大人の男女が決定的な瞬間を目撃する。ナタリアが 現れるという古い家の窓に、亡霊のような影がうつり、「こちらへおいで」と手招きをしていたという。
 この話に村人たちも恐怖し、ナタリアが出現する家に火をつけ、燃やしてしまうことにしたのである。
 村人たちは古い家に火をつけ、家が燃えている間、少女の亡霊に対し、祈りをささげた。いささか気の毒な気もするが、村人たちの 祈りが通じたのか、それ以降、少女の姿が目撃されることは無くなったという。




003 怪奇の扉 005
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