013 フランケンシュタインの日記

−実在したフランケンシュタイン−



 小説「フランケンシュタイン」はご存じだろうか。
 スイスで生まれたヴィクター・フランケンシュタインは17歳の時ドイツに留学し、必死の努力で死体に命を与える事に 成功した。しかし、出来上がったものは身長8フィートの巨人であり、そのおぞましい姿にショックを受けたフランケンシュタイン青年は、巨人を残し スイスに帰ってします。残された巨人は旅にでるが、巨人の姿をみると誰もが怖がって相手にしてくれない。人間との交流をあきらめた巨人は、スイスの フランケンシュタインを訪ね、自分と同じ女の怪物を作ってくれるよう懇願する。
 誰もいない所でひっそりと暮らすことを条件に、フランケンシュタインは巨人の 製作を行うが、完成直前に再び同じ過ちを犯してしまう事に気づき、自ら女の巨人を破壊した。怒った巨人はフランケンシュタイン青年の周りの人を次々と 殺していく。弟や最愛の女性までも巨人に惨殺されたフランケンシュタイン青年は、自分の作り出した怪物を呪い、自分の罪に苦悩する。そして巨人を殺そうとする フランケンシュタイン青年と、逃げ延びてフランケンシュタインを苦しめようとする巨人との戦いが・・・。というのが、イギリス人の小説家メアリー・シェリーによって書かれた 小説、「フランケンシュタイン」である。

 このフランケンシュタインが実在の人物だったという説がある。18世紀に書かれたヴィクター・フランケンシュタインの日記というものが存在しているのだ。 18世紀のドイツ、インゴールシュタット大学で解剖学を学ぶ青年フランケンシュタインは、死者を復活させるという欲望にとりつかれる。墓場や死体置き場から死体を盗んできては 実験を繰り返し、手や足、内臓、目、鼻までをつなぎ合わせて新しい命を作り出そうとする。しかし、なかなかうまくいかない。特に脳の作業には困難を極め、新鮮な脳を 手に入れるため罪を犯してしまう。
 1774年4月21日、フランケンシュタインは、弟子と一緒に森で遊んでいた子供を誘拐する。連れ帰った子供を殺し、頭を開いて脳を摘出し、すでに身体の部分は完成していた 人造人間に移植をする。
 「明日はもっと強い電流を流してみよう。きっと体内に眠っている力がよみがえることだろう。手術はすべて完了したが、こうして終わった後、科学者として感じるはずの喜びよりも人間としての罪に押しつぶされそうだ。 私のやってしまったことはあまりにも恐ろしい・・。」日記はここで終わっている。その為、人造人間が成功したのかどうかは謎のままである。


 <参考資料>
  ・フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))
  ・フランケンシュタインの日記 (学研ホラーノベルズ―MOVIE MONSTERセレクション)
  ・フランケンシュタイン [DVD]




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