018 堺市資産家連続殺人事件 西口宗宏

(被害者・関係者は仮名、敬称一部略)



事件概要
 2011年11月5日、堺市南区の歯科医師の妻Aさん(当時67歳)が行方不明になる。同年12月1日、象印元副社長のBさん(84歳) が同市北区の自宅で手足を結束バンドで縛られ、顔に粘着テープを貼られてラップを巻かれた状態で殺害された。
 2011年12月6日、大阪府警は堺市北区長曽根町の無職、西口宗宏(当時50歳)逮捕した。

事件
 2011年11月5日、堺市南区の歯科医師の妻Aさんが、堺市のショッピングセンターに買い物に出掛けたまま行方不明となる。 11月10日、女性の車は堺市北区の銀行支店近くの商業施設駐車場で発見されるが、女性は見つからず車内に大量の血液反応 があった。また、11月6日に堺市北区にある都銀支店のATMで女性名義の口座から第三者が引き出された映像が防犯カメラに より確認された。

 2011年12月1日、象印マホービン元副社長のBさんが同市北区の自宅で、手足を結束バンドで縛られ、顔にラップを巻かれた 状態で意識不明の重体となり発見され、前日に集金された所有マンションの家賃計74万円とキャッシュカードが奪われた。 Bさんは病院に搬送されたが、口と鼻を長時間ふさがれたことによる酸素欠乏で死亡した。


逮捕
 2011年12月1日、大阪府警はAさんの銀行口座から現金5万円を引き出したとして、堺市北区長曽根町の無職西口宗宏を 窃盗容疑で逮捕した。西口は当初容疑を否認していたが、12月13日大阪府警の調べに対しAさんを殺害後、遺体をドラム缶に入れ、固形燃料を使って焼いた 供述、2人の殺害を認めた。12月14日、大阪府警は河内長野市の滝畑ダム周辺の山中を捜索し、多数の骨片を発見した。
 山中で見つかった複数の歯の治療痕や形が女性のものと一致したとの鑑定結果が出た為、2012年1月23日、 堺市南区で女性を連れ去り、 暴行を加えて金品を奪い、河内長野市内で殺害した疑いがあるとして、大阪府警は、逮捕監禁、強盗殺人などの容疑で 西口を再逮捕した。

 その後2012年2月14日、大阪地検堺支部はAさんに対する強盗殺人、死体損壊・遺棄などの罪で、西口を追起訴。2012年3月15日には、象印マホービン元副社長 Bさんに対する強盗殺人などの罪で西口を追起訴した。


本人歴
 西口は少年時代から母と2人で象印マホービン元副社長Bさん宅の向かいに住み、Bさんとは40年来の付き合いがあった。 子どもがいないBさんは、西口を息子同然に可愛がっていたという。
 西口は地元の高校を卒業し、建設関係の会社で働き始め、30代で独立するも失敗。 多額の借金を抱えていたようだが、無職にもかかわらず、5万円以上するブランド服を娘に着せるなど、浪費癖が目立っていた。  1999年に母親が亡くなり7千万円の預金と不動産を相続するが、それも3年足らずで使いきってしまう。その後、3600万円の保険をかけた自宅を 放火したとして2004年に逮捕される。Bさんはこの時、「西口はそんな事をするような奴じゃない」と最後まで西口をかばっていた。

 西口は放火事件で服役中に、「金持ちの人を襲う」という大まかな犯罪計画を立てており、2011年8月に仮釈放さてから3か月後に 犯行を行った。


裁判
 2014年3月10日、大阪地裁で西口に対し死刑の判決が下された。
 裁判では、 検察側により仮釈放後に同居していた内妻や、保護観察官に「仕事を始めた。多額の現金を用意できる」と嘘を重ね、 「嘘がばれると内妻に見放され、刑務所に戻る羽目になる」と考え、計画を実行したと動機も明らかにされた。

 弁護側により即日控訴。現在控訴審中。




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