014 デビンド・ラング消滅事件

−世にも奇妙な人間消滅事件−



 1880年9月23日、アメリカのテネシー州、メンフィスのとある牧場。 牧場経営者のデビンド・ラングは、牧場内を二人の子供を連れて歩いて見て回っていた。 そこへ馬車に乗ったラングの二人の友人がやってきたので、ラングは手をあげ彼らを出迎えた。 そのいつもと変わらない様子を見ていたラングの妻は夫の異変に気が付いた。 夫の足元から次第に透明になり、そして頭まであっという間にかき消えてしまった。 5人が見ている目の前でラング氏は完全に消えてしまったのである。 目を疑う友人とラングの妻は彼が消えた場所で、ラングを捜したが、何も手がかりは見つけられなかった。 すぐに近所の人たちも加わって警察は捜索を始めたが、やはり何も発見できなかった。 数ヶ月の間、捜査は続けられたが、何の手がかりも得られないまま事件は迷宮入りした。

 ラングは死んだものとして、葬儀も終わった1881年4月のある日、 ラングの子供達は、父親の消えた場所へ行ってみた。 するとそこに直径6メートルくらいの円を形どった黄色い草が生えており 地下から何かが聞こえてきた。 父親の声かも知れないと直感した子供達は、地面に向かって呼びかけた。 すると、地中から「助けてくれ、助けてくれ」と、叫ぶ父親の声が聞こえてきた。 驚いた子供らは、すぐに母親を連れて来て、一緒に地面に呼びかけたが、ラングからの返事はなかった。 その後、この一家は忌まわしい牧場を売却して転居してしまった。 この蒸発事件は公式の記録として今も残されているという。


 




013 怪奇の扉 015
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